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総合柔道整復

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そもそも、柔道整復師とは?-専門学校教員による徹底解説-

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こんにちは。東京医療福祉専門学校の柔道整復科で教員をしている橘和豊です。
皆様の中でも、怪我をしたり身体に不調を覚えた場合、近所の整骨院を受診された経験がある方が多くいらっしゃるかと思います。
私の実務経験でも、親子三代にわたって施術所にいらしている方がいらっしゃいました。
そのくらい身近なようでいて、実はあまり知られていない「整骨院の先生=柔道整復師」の資格や仕事内容を徹底解説致します。

1.そもそも柔道整復師とは?
 1.1【柔道整復師の業務内容】
 1.2【開業について】
 1.3【保険の取り扱い】
2.柔道整復師にはどうしたらなれる?
 2.1【専門学校?大学?】
 2.2【履修科目】
3.学費は?
 3.1【平均】
 3.2【当校】
4.国家資格とは?
 4.1【柔道整復師国家試験】
 4.2【柔道整復師国家試験の合格率推移】
5.どんな人が向いている?女性柔道整復師の需要が急増中!
 5.1【どんな人が向いている?】
 5.2【女性柔道整復師のニーズ急上昇中】
6.柔道整復師の平均収入は?

1.そもそも柔道整復師とは?

1.1【柔道整復師の業務内容】

そもそも柔道整復術という技術は、古来より武術(柔術や近代では柔道)から派生した活法といわれる、
怪我を治したり蘇生する術から始まりました。
その由縁から、急に起きた怪我(骨折、打撲、捻挫、挫傷<筋肉や腱の損傷>)の治療(施術)を国から
認められている資格が「柔道整復師」となります。

業務内容としては、上記の怪我に対して
整 復…骨折や脱臼によりずれてしまった骨や関節を正しい位置に戻す技術。
    その他、捻挫や挫傷であっても筋肉等がずれる事があり(いわゆるクセになる状態)
    そういった軟部組織も正しい位置へ戻す必要がある。
固 定…ずれていた組織を整復した後、正しい位置で固定し動かさないことにより周囲の修復を促す技術。
後療法…いわゆるリハビリを行って、怪我をする前の状態に近づける技術。

という3つの過程を通して、患者さんの苦痛を和らげ、怪我をする前の状態に近づけることを生業とする職業です。現代の柔道整復師は、古来からの経験や知識に加え、近代西洋医学からの詳細な解剖学や生理学、運動学を吸収し、 手術や薬に頼らない「徒手による技術=手技」での整復・固定・後療法を実施し、患者さんが本来有する自然治癒力を 最大限発揮できるようサポートしていく仕事となります。
そういった専門性から、接骨院・整骨院はもちろん、整形外科といった医療機関や、スポーツトレーナーとして スポーツ現場に帯同したり、介護の現場でも活躍している柔道整復師がたくさんいます。

<内部リンク:スポーツトレーナー>準備中

しかしながら、毎日骨折や脱臼の患者さんが来所する整骨院ばかりではございませんので、我々東京医療福祉専門学校では、 上記の整復・固定・後療法に加えストレッチ運動指導法運動療法手技療法といった技術の他、各種テーピング法パーソナルトレーナー過程も授業カリキュラムに取り組み、様々な現場でもすぐに活躍できる柔道整復師の育成を 実践しています。

<内部リンク:就職先>準備中

 

1.2【開業について】

 そんな柔道整復師は独立開業権を有する国家資格となりますので、将来的に開業を目指す方には大きなメリットとなります。 自分の方針で何にも縛られずに働きたい方にお勧めです。
 ただし、後述する保険を取り扱った施術所を開業するには一定期間の実務経験(柔道整復師として保険医療機関に勤めた経験)と2日間に渡る研修を受講する必要があります。

<外部リンク:施術管理者の要件について>

 保険の取り扱いが可能であれば、窓口での患者さん負担金額が少額となりますので幅広い年齢層の患者さんが気負わずに、 ちょっとした不調でも安心して来所できるメリットがあります。
 そのため整骨院は地域に根差した第一次医療という側面があります。第一次医療の重要な役割に「疾患の鑑別」が挙げられます。私の経験では、「なんだか最近背中が痛い」と訴えていらした患者さんで、お話を伺っているうちに疑惑を感じて病院での 検査をお勧めしたところ、実は内臓器疾患による背部痛であったという例がありました。幸い早期発見でお元気になられましたが、こういった事例は数多く見受けられます。この様な事例できちんと鑑別を行えず、「背中の筋肉が硬くなっていますね~」と検査を受けずに放置してしまうと、最悪の状況を招いてしまいます。命にかかわる職業でもあるのです。
 そういった理由から、柔道整復科では病理学や一般臨床医学といった科目をしっかり学び、怪我だけでなく病気についての知識を深める必要があります。

<内部リンク:履修科目>

 少し話が逸れてしまいましたが、それとは別に、最近では保険を取り扱わず、自費診療のみを行っている整骨院も増えてきて います。こちらのパターンでは料金設定が高額になってしまいますが、一日に少数の患者さんと一人一人じっくり時間をかけて 向き合うことが可能であるというメリットがあります。

 

 いずれにしても、ご自身の理想とする施術所を開業できることは大きな強みといえるでしょう。

1.3【保険の取り扱い】

先述の通り、柔道整復師は保険を取り扱えることも重要なメリットです。
ただし、何でもかんでも保険適用という訳ではなく、その条件は細かく法律で定められています。

まず健康保険の適用となるのは「負傷原因が急性または亜急性(急性に準ずる)の外傷性の負傷」だけです。具体的には、骨折・不全骨折・脱臼・捻挫、打撲、挫傷だけが健康保険の適用となります。しかも、骨折・不全骨折・脱臼は医師の同意が必要となります。(ただし、応急手当としての、最初の1日だけはこの対象ではありません。また、急性の捻挫、打撲、挫傷については医師の同意は必要ありません。)
そして、整骨院には健康保険を使った施術が一部認められていますが、保険医療機関ではないため、健康保険でかかれる施術料は療養費の扱いになります。
療養費の場合、原則的に患者さん本人が全額を窓口で支払い、後日、健康保険組合に申請して所定の額が払い戻される「償還払い」となりますが、「受領委任制度」(患者さんが窓口では自己負担分だけを払い、柔道整復師が残りの施術料を健保組合などの保険者から受け取れるよう、患者から委任したことにする制度)により一般の病院と同じように健康保険証の提示と一部負担金で施術を受けることができるようになっています。
その際は必ず患者さんご自身が受けた施術内容と請求金額が正しく記入されているのを確認し、委任状欄に署名することが必要となっています。

<外部リンク:厚労省>

2.柔道整復師にはどうしたらなれる?

それでは次に、どうすれば柔道整復師の資格を取得できるのかについて解説します。

2.1【専門学校?大学?】

高校卒業後、専門学校で3年以上もしくは大学で4年以上、特定の科目を履修し卒業を認められた方が年に一度実施される国家試験に挑み、合格すると厚生労働大臣から免許が受けられます。

 <内部リンク:専門学校と大学>準備中

 国家試験については後程詳しく述べますが、四択問題のマークシート式となります。学校説明会などでよくご質問をいただきますが、国家試験は記述式試験や実技試験は行われません。
 実技試験としては、学校を卒業するにあたり、卒業認定実技試験が実施されます。特に専門学校では全国一律の内容を行い、他の専門学校から講師の先生がいらして採点します。

2.2【履修科目】

 各学校で履修しなくてはならない科目は、まず基礎系科目として解剖学で身体の構造を学び、運動学でそれらがどの様な動きをするのかを確認し、生理学では身体における各機能を理解し、病理学では機能不全が生じると病気になることを勉強します。そして臨床系専門科目として柔道整復理論で怪我や身体の不調の治療法を学び、一般臨床医学では各疾患の特徴的な症状を知ることで鑑別法を習得し、外科学や整形外科学で疾患の理解度を深め、リハビリテーション医学等で元の状態へ戻すための学習をしていきます。
 上記以外にも様々な科目はあり、勉強も試験も決して簡単とは言えませんが、すべては未来の患者さんの為、しっかりと施術を行える為に必要なカリキュラムとなっています。

3.学費は?

 柔道整復師は数少ない医療系国家資格となりますので、学費が安いとは言えません。

3.1【平均】

大まかな平均ですが、

  専門学校:約400~450万円
  大 学 :約640~710万円

といった所が相場となっています。

3.2【当校】

 東京医療福祉専門学校は390万円ですので、都内の専門学校では最も低いグループに属します。そして、学校に関しては「安かろう悪かろう」は当てはまらないということを是非ご理解ください。
 さらに当校は、「教育訓練給付金制度」や「高等学校等就学支援金制度」といった給付型学費支援制度の対象校となっています。

 <内部リンク:就学支援制度

4.国家資格とは?

 先ほども少し触れましたが、柔道整復師は医療系国家資格です。
そこで、そもそも国家資格とは:国の法律に基づいて、各種分野における個人の能力、知識が判定され、特定の職業に従事すると証明される資格となります。法律によって一定の社会的地位が保証されるので、社会からの信頼性は高い資格となっています。

 <外部リンク:厚労省>

4.1【柔道整復師国家試験】

 国家資格を取得するには、まず国家試験に合格しなくてはならない事は先述しましたが、柔道整復師国家試験についてもう少し詳しくご説明いたします。

受験資格:専門学校や大学の卒業が認定された者
試験日 :毎年3月第1日曜日
試験内容:全250問、マークシート式四択問題

午前128問
     必 修:50問
     解剖学:30問
     生理学:25問
     運動学:10問
     病理学:13問

午後122問
     公衆衛生学:12問
     リハビリテーション:11問
     一般臨床医学:22問
     外科学:11問
     整形外科学:11問
     柔道整復理論:55問

 このうち、必修40/50点以上、必修以外120/200点以上で合格となります。

  <外部リンク:厚労省>

4.2【柔道整復師国家試験の合格率推移】

全国平均国家試験合格率の過去5年の推移は以下の通りです。

  2020年 第28回:64.5%
  2021年 第29回:66.0%
  2022年 第30回:62.9%
  2023年 第31回:49.6%
  2024年 第32回:66.4%  

 

 東京医療福祉専門学校の過去5年の推移は以下の通りです。

  2020年 第28回:95.0%
  2021年 第29回:90.0%
  2022年 第30回:64.3%
  2023年 第31回:70.6%
      2024年 第32回:66.7%
全国:61.88%
当校:77.32%

 国家試験の難易度は上がってきている傾向にありますが、本校は全国平均を毎年上回っています。その理由としては少人数制ですので、個別での補講や指導が実現できているからです。個人個人で異なる理解度や苦手科目をしっかり補うことにより平均以上の合格率を達成しています。

5.どんな人が向いている?女性柔道整復師の需要が急増中!

 5.1【どんな人が向いている?】

「どのような人が柔道整復師に向いていますか?」というご質問もよくお受けします。
気になる方は下のチェック項目に当てはまるか見てみてください。

   □1.身体を動かすことが好きだ。

 □2.部活動などでスポーツ経験がある。

 □3.怪我をして整骨院で施術を受けたことがある。

 □4.おじいちゃん子・おばあちゃん子である。

 □5.人と接したり、話を聞くことが好きだ。

 □6.「優しいね」と言われたことがある。

 □7.身体の構造に興味がある。

 □8.ご家族や知り合いの治療がしたい。

 □9.スポーツトレーナーに興味がある。

 □10.開業したい。

上記のうち、1つでも当てはまれば「柔道整復師に向いている」といえます。
「そんな横暴な」とお思いかもしれませんが、理由は以下の通りとなります。
例えば、1~3に当てはまった方はご自身の経験から患者さんの立場に立った考えができます。4~6に当てはまった方は、整骨院ではご高齢の患者さんも多くお見えになりますので労わる気持ちや優しい心を兼ね備えている方はとても向いているといえます。7~9に当てはまった方は、医療や人体について興味が持てると学校での勉強に苦心せず学べるし、治療家として羽ばたけるはずだからです。そして10に関しては先述しましたが独立開業権を有する資格ですので持って来いと言えます。

5.2【女性柔道整復師のニーズ急上昇中】

 そして近年、オリンピックなどでも女性アスリートの方々の活躍を目にする機会が増えましたが、裏を返せば、女性の施術者のニーズも高まっていることが伺えます。
 アスリートに限らず、一定数女性の患者さんは女性の先生からの施術を希望される方がいらっしゃいます。一昔前までは、柔道整復科のクラスは男性が8~9割といった割合でしたが、近年のクラスでは女性が過半数を占めることもありました。
 柔道整復科は柔道の授業も必修でありますが、柔道未経験の女性が数多く卒業していきましたので、女性の方もどうぞご安心ください。

 <内部リンク:女性施術者>準備中

 さらに最近では、美容業界でも柔道整復師のニーズがあり、卒業生も働いています。
柔道整復師=整骨院という枠に収まらず、「人の身体をより良くしたい」という大きな枠組みの共通項で、様々な業界で活躍する柔道整復師が今後一層増えていくことが予想されます。

6.柔道整復師の平均収入は?

 それでは最後に、柔道整復師になった場合の気になる収入のお話をさせて頂きます。
ただし、先程から述べていた通り、就職先も多岐に渡れば給与形態も多種多様となるため一概にはいえません。
 そこで、東京医療福祉専門学校では年間の卒業生総数約100名に対して1,300件を超える求人募集がきますので、新卒で正社員として勤務した場合の平均的な初任給や勤務体系などをご紹介いたします。

<内部リンク:詳しい就職先>準備中

初任給:約23万円
    賞与や昇給があるところが多いです。

休 日:週休2日(週休日数を選択できる職場が増えています)
    その他有給休暇や夏季・冬季休暇があるところが多いです。

勤務時間:10:00~13:00、15:00~20:00
     昼休みを長く取っているところが多いです。

福利厚生:健康保険や社会保険、家族手当のほか、家賃・引越支援金等
     しっかり完備されているところが多いです。

 このように、近年ではいわゆる「グループ治療院」という母体が大きな企業が多くありますので、安心して就職いただけます。また人手が足りないと悩んでいる企業が多いので、卒後に関しては心配ご無用です。

 もし柔道整復師を目指して進学先をご検討されている方は、ぜひ一度オープンキャンパス等学校説明会へお気軽にご参加ください!お待ちしております。

橘和豊(TACHIBANA KAZUTOYO)
北海道帯広市出身
高等学校卒業後、柔道整復師養成校(専門学校)へ進学。
2006年度柔道整復師免許を取得する。
柔道整復師免許取得後、鍼灸師養成校(専門学校)(はり・きゅう科)へ進学。
2009年度鍼灸師(はり師・きゅう師)免許を取得する。
鍼灸接骨院で10年以上にわたり老若男女様々な症状の患者さんの施術に携わり
臨床技術を研鑽する。
現在は、東京医療福祉専門学校に柔道整復科専任教員として2015年度より在籍。
主な担当科目:柔道整復理論、柔道整復実技、関係法規
【保有免許・保有資格】
柔道整復師免許
鍼灸師(はり師・きゅう師)
柔道整復師専科教員資格
キネシオテーピング協会認定CKTP資格